神はテーブルクロス

私には大好きな本がある。

「神はテーブルクロス」著者:須藤元気

この本との出会いは今から数年前(結構前)。

2006年、突然引退を発表した格闘家、須藤元気。

試合があるたび、彼が創り出す派手な入場パフォーマンスに心躍らせていた私は

今か今かとテレビの前に腰を下ろした。

予定通り入場した彼は、いつだって期待を裏切らなかった。

爆音と共に、沢山のバックダンサーを引き連れ、観客を興奮の渦に巻き込んだ。

その日私は、彼の背中に描かれた「ナスカの地上絵」が気になって仕方が無かった。

理由は今でも分からない。

見慣れた背中であるはずなのに、とにかく気になって仕方なかった。

ちょうどその頃、狙ったかのように鹿児島黎明館で「世界遺産 ナスカの展」が行われた。

展示会など興味も無かった私がなぜか、本能のままに黎明館に向かった。

きっと引き寄せられたんだ、と今でも思っている。

彼の背中に描かれた”ナスカの地上絵”が見たかった。

本物の地上絵がそこにあるわけでなく、ただ床にライトで照らされたそれをみて私は興奮した。

夢中で床に映る地上絵を眺めた。とても不思議な感覚だった。

彼はなぜ、背中に「ナスカの地上絵」を刻んだのか。

模索している時に出会ったのが一冊の本。

「風の谷のあの人と結婚する方法」著者:須藤元気

タイトルに恐ろしくセンスを感じたのと同時に、夢中で読んだのを今でも鮮明に覚えている。

彼の本は少し(いや大分)スピリチュアルなものだったが、とても読みやすく溶けるように私の体に入り吸収された。

【世の中には「波紋の法則」というものがあります。与えれば得られるようにできています。水たまりの中心に水滴を落とす、そうすると波紋が広がっていきます。やがてその波は外側の壁にぶつかって跳ね返されて、結局は中心へと戻っていきます。】

要はすべて自分に戻ってくるんだよってこと。そんなことが書かれている。

〜愛をもって接すれば、愛として戻ってくる〜

〜人を裁けば、自分も裁かれる〜

例えばそんなことだ。

私はその後、彼の書籍を買いあさった。

須藤元気が四国のお遍路めぐりを通して綴った処女作である「幸福論」。

そして、『神はテーブルクロス』。

何度読み返しても”ぷっ”と笑わせてくれる貴重な一冊だ。

【突如、山に登りたくなった。ただいまの時刻、18:35分。昔から旅には衝動的な出発をする。〜中略〜さすがに1人で登山は気がひけるので、友人たちに声をかけた。高尾山口の駅に夜23:00集合。なんだかんだで5人集まった。誘っておきながら「みんな暇だね」と言ってあげた。懐中電灯を片手に食料をバックに詰めて頂上を目指す。高尾山は霊山でもあるので皆に騒がずに心して登ろうと伝えると、友人の1人が「わかったよ。一歩一歩踏みしめて山に感謝しながら煩悩を断つよ」と言った。その時彼が登山前に食料を買っていた時、グラビア雑誌もかごに入れていたのを思い出した。今、彼のバックに入っているグラビア雑誌はどんな道をたどるのだろう。とくに何もなく約3時間で頂上に着いた。着いてからは将来について話したりUFOを呼ぼうと皆で心をひとつにしたりした。】

そんなしょうもないことが只管書かれているこの本が、今でも私の宝物なのだ。

写真のある日常を

こっそりひっそり。

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